上図の機械部品は、正面と側面にピン穴があり、下面Aが基準面となっています。基準面Aは図面指示では切削加工が無し(素材のまま)になっているため、このままでは精度を出すことができません。図面通りの公差を出すためにはA面を中仕上げ程度に切削加工をする必要があり、余分な工程が増えて加工時間も長くなります。したがって、こうした図面指示の機械部品はコスト高となります。
可能であれば、上図のように基準を正面ピン穴に設定して、ピン穴間の精度のみを設定します。これにより、下面の中仕上げする必要がなくなり、切削加工工程を削減することができます。なお、横型マシニングセンタ等で正面、側面を同時に切削加工すれば精度を出すことも可能です。設計者は、機械部品における基準面の設定を工夫することでVA・VEを実現できます。