機械部品”切削研磨”技術情報

鋳物の加工が敬遠される理由

鋳物の加工は、近年、対応する加工会社が減少傾向にあります。
その理由は以下の点が上げられます。

1.鋳物の粉が作業環境的に良くないこと
鋳物の加工時に飛散する粉を作業者が吸い込むことで、健康被害に関わることもあり、作業環境に配慮する必要があります。

2.鋳物の粉が工作機械の劣化の原因に繋がること
鋳物の加工時に出る粉が、工作機械の部品隙間に入り込み、目詰まりや摩耗などの原因となることがあります。

3.同一工場内、他製品への悪影響があること
鋳物の加工時に飛散する粉が、同一工場内で加工する鋳物以外のワークに飛散するため、品質管理上の管理工数と気遣いが生じることです。

4.支給材料ごとに品質にばらつきがあること
鋳造会社ごとに品質が異なるケースが多いこと、加えて、同一会社内においてもロットごとにばらつくことがあり、支給材料の品質が安定しません。さらに、補修として溶接が施されている支給材もあり、材料硬度が上がっていることから加工が困難になることもあります。

5.巣により加工ロスになることがあること
加工している途中に、鋳物に巣が発見された場合、それまでに費やした加工時間がロスとなり、歩留まり悪化に繋がります。

6.材料手配の手間がかかること
鋳物を調達含め行う場合には、鋳造会社の選定から品質管理まで、部材手配に管理工数がかかります。さらに、鋳造会社数の減少や海外移転に伴い、供給先の確保自体が難しくなっていることもあります。

7.治具製作に工数がかかること
追加工箇所の形状が複雑な場合、加工治具を製作する必要があり、小ロット品であっても工数が増加傾向にあることです。