機械部品”切削研磨”技術情報

鋳物加工

「 鋳物 」とは

鋳物とは、熱により溶かした金属を砂型に流し込み、型取りして造形する金属製品です。砂型を崩すことに製品を取り出しますので、複雑な造形ができます。使用後の砂型は、砕いた後、成分を調整して再利用ができます。砂型を作るためには、鋳造しようとする形状を木で作った木型を用意することが一般的です。材質としては、一般金属の鉄をはじめ、亜鉛、アルミニウム、マグネシウムなどの鋳物も多数生産されています。鋳物は、砂型による造形であることから、0.1mm以下の高精度を出すことはできません。型から取り出された鋳物は、鋳肌と言われるざらざらとした凹凸の表面をしています。
また、鋳物は抜きテーパーという型からはずしやすくするための微妙な角度がつけられていることと、鋳込み口という鋳物を注ぎ込むための穴(少し盛り上がった形)の箇所があることが特徴です。さらに、鋳物は繊細で造形時の天候や温度、金属注入までの時間などが要因で、仕上がりに大きな影響が出ます。このことから、鋳物は加工会社へ支給される材料一つ一つの形状・品質にバラツキが出やすくなります。そのため、材料の特徴を見極めて必要な形状に仕上げていくため、鋳物の加工には卓越した職人技が求められます。

鋳物加工 コンバーターハウジング 鋳物加工 オイルパンアッパーブロック

「 鋳物の加工が使われる理由 」

鋳物は、産業機械や工作機械、自動車、造船など多様な業界分野で活用されています。
部品名としては、ポンプや定盤、マニホールド、エンジンブロック、ホイール、ハウジング、ケーシング、ナックル、ライナー、クランクシャフト、軸受け、ブッシュなど実に様々な用途があります。
鋳物が様々な業界分野で活用される理由は型により、自由に形状を形作ることができるためです。丸材・角材からすべて削り出しで、金属を加工するには、工数と材料ロスが増大してしまうこともあり、一定量の数量の生産が求められる部品では、一般的に多く鋳物が活躍します。
したがって、必要な箇所を適切に追加工し、形状と精度を出すことができれば、鋳物は金属加工の分野で大変有効な製造法ということになります。

鋳物加工 弁箱 鋳物加工 ケーシング 鋳物加工 ポンプ用脚体

「 鋳物加工のポイント 」

鋳物の加工には、下記のポイントがあります。

「加工の基準面をどこに設定するか」
鋳物は形状が歪なため、基準面をどこに設定するかが重要なポイントとなります。
ごつごつしていて、寸法も確度もバラバラな鋳物を加工するとき、最も難しいのが最初の基準面をどのように出すかということです。この基準面さえ決まってしまえば、比較的高精度に直角や平行へ加工してくことが可能となります。基準面を選ぶポイントとしては、図面上の指示で直角度や平行度で基準になっていること。鋳込み口がなく比較的面が平面な箇所であること。面積が大きく、クランプなど以降の工程で安定して加工ができることといった点です。